【ABBV 2022年度決算】Humiraの特許切れとなったが?

企業分析
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基本情報

会社名:Abbvie Inc.

ティッカー:ABBV

2023年4月現在、堅調な株価の推移が続いており、最高値更新が見込まれます。

ABBVの決算報告書はこちらから(2022年度)

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事業概要

Abbvieは、米国の大手製薬企業であり、2013年にアボット・ラボラトリーズ(ABT)から独立して上場しました。

同社は以下のような包括的な製品ポートフォリオを有しています。

Humira、Skyrizi、Rinvoq:免疫学製品

Imbruvica、Venclexta/Venclyxto:腫瘍学製品

Botox Cosmetic、The Juvederm Collection of Fillers、その他:美容学製品

Botox Therapeutic、Vraylar、Duopa and Duodopa、Ubrelvy、Qulipta:神経科学製品

Lumigan/Ganfort、Alphagan/Combigan、Restasis、その他:アイケア製品

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事業に関連するリスク(一部抜粋)

The expiration or loss of patent protection and licenses, including the loss of exclusivity for Humira and increased competition from biosimilars, may adversely affect AbbVie’s revenues and operating earnings.

Humira の独占権の喪失およびバイオシミラーとの競争の激化を含む、特許保護およびライセンスの失効または喪失は、AbbVie の収益および営業利益に悪影響を及ぼす可能性があります。

Abbvie 2022年度決算報告書 ITEM 1A. RISK FACTORS より

製薬業界には特許切れのリスクがつきものです。

新薬は上市後数年間は独占販売ができますが、特許が切れた後は後発品の参入による競争が予想されます。

Abbvieも例外ではなく、同社の主要収益柱であるHumiraの米国特許が2023年1月31日に切れることが、注目を集めています。

AbbVie’s research and development efforts may not succeed in developing and marketing commercially successful products and technologies, which may cause its revenues and profitability to decline.

アッヴィの研究開発努力は、商業的に成功する製品および技術の開発およびマーケティングに成功しない可能性があり、その結果、収益および収益性が低下する可能性があります。

Abbvie 2022年度決算報告書 ITEM 1A. RISK FACTORS より

研究開発の成功や新製品のマーケティングの成功には保証がないことは、製薬業界に限らず、他の業種にも共通しています。

Significant safety or efficacy issues could arise for AbbVie’s products, which could have a material adverse effect on AbbVie’s revenues and financial condition.

アッヴィの製品に重大な安全性または有効性の問題が発生する可能性があり、アッヴィの収益および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

Abbvie 2022年度決算報告書 ITEM 1A. RISK FACTORS より

一般的に、製品リコールと呼ばれる措置は、特に医薬品の場合、健康被害が発生すると集団訴訟に発展する可能性があるため、企業にとっては大きな損失となり得ます。

製薬業界には他にも様々なリスクが存在しますが、最も重要なのは先に述べた特許切れです。

特許切れに備え、新製品への投資を行っているかどうかは、企業の将来に対する見通しを判断する上で重要な要素となります。

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2022年決算と今後の戦略

2022 年の財務実績には、全世界での純収益が 581 億ドル、営業利益が 181 億ドル、希薄化後 1 株当たり利益が 6.63 ドル、営業活動によるキャッシュ フローが 249 億ドルでした。世界全体の純収益は、報告ベースで 3%、恒常通貨ベースで 5% 増加しました。これは、免疫学、神経科学、美容学のポートフォリオ全体の成長を反映しています。

Abbvie 2022年度決算報告書 ITEM 7. MANAGEMENT’S DISCUSSION AND ANALYSIS OF FINANCIAL CONDITION AND RESULTS OF OPERATIONS より

連結損益計算書 P/L および 連結貸借対照表 B/S

製薬業界ですので、営業利益率が31.2%と高水準であり、売上総利益率が70%と、非常に高い収益性を維持しています。

この高い収益性は、膨大な研究開発費用を賄うために重要です。

財務諸表上では、固定資産の比率が高く、企業買収が多い傾向が分かります。

(企業買収時に生じるのれんは無形固定資産に分類されます。)

連結キャッシュフロー計算書 C/Sと売上高推移

グラフの単位は百万ドルです。

営業利益率はおおむね30%前後で推移しており、売上高は右肩上がりで手堅く成長。

基本的には利益を財務活動(借入金の返済など)で消費しているC/S型をしています。

合併などがあった場合には大きく投資活動でのマイナスが表れますね。

特に2020年はアラガンの買収を行ったことがC/S上からもわかります。

この買収で2023年のHumira特許切れに備えたポートフォリオ強化を行っていると評価できます。

営業利益率がおおむね30%前後で推移しており、売上高の安定的な右肩上がりの成長を続けています。

基本的には、利益を財務活動(借入金の返済など)で消費しています。

ただし、合併などの大型投資があった場合には、投資活動でのマイナスが表れます。

例えば、2020年にアラガンの買収を行ったため、C/S上には大きな投資が現れました。

しかし、この買収によって2023年のHumira特許切れに備えたポートフォリオの強化が行われていると評価できます。

2023年の戦略目標

アッヴィは、以下を通じて戦略的目標を達成することを期待しています。

•市場シェアの拡大と適応症の拡大により、Skyrizi と Rinvoq の収益が増加しました。

• Venclexta の市場シェアと新しい適応症の拡大、新製品発売の強力な商業的実行、および Imbruvica に影響を与える市場と競争上の課題の効果的な管理により、血液腫瘍学ポートフォリオを前進させます。

•審美性の世界的拡大への継続的な投資と、ボトックスおよびジュビダーム コレクションの市場浸透の拡大。

• Vraylar、Botox Therapeutic、Ubrelvy、Qulipta によるニューロサイエンスの収益成長。

•アッヴィの既存のアイケア ポートフォリオの最大化。

• Humira バイオシミラーの浸食の影響を効果的に管理する。

• 2023 年に承認が予定されている、最近承認された、または現在規制当局の審査中のパイプライン製品および適応症の好ましい影響。これらの製品については、この項目 7 の一部として含まれる「研究開発」とラベル付けされたセクションで詳細に説明されています。

Abbvie 2022年度決算報告書 ITEM 7. MANAGEMENT’S DISCUSSION AND ANALYSIS OF FINANCIAL CONDITION AND RESULTS OF OPERATIONS より

今後、AbbVieの主力製品である「Humira」の特許切れに伴い、その影響がどの程度抑えられるかが注目されています。

2022年度には「Skyrizi」と「Rinvoq」が成長しているため、これらがHumira特許切れのカバーとなることが期待されています。

今後の動向によっては、株価が下落する可能性がありますが、その際には積極的に買い増しを検討したいと考えています。

また、今後の成長にも期待ができるため、余力がある場合は株価が堅調でも買い増しを検討したいです。

2023年4月時点で、AbbVieの税引前配当利回りは3.68%ですので、比較的魅力的な投資先であると思われます。

最後に、本記事は私が決算書を読む練習を兼ねて作成したものであり、あくまでも参考としてご覧いただきたいと思います。

私自身も一般人であり、投資に関する判断はご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。

また、この記事においてもう少し掘り下げて欲しい部分や、間違いがあった場合にはご指摘いただけると大変助かります。

You only live once. 全力を尽くしましょう!

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